DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して業務やビジネスの仕組みを変革することです。DXと聞くと壮大に感じるかもしれませんが、ECサイトでの買い物やキャッシュレス決済、テレワークなど、DXの例は私たちの身近に溢れています。
「自社でもDXを進めたいけれど、具体的にどう取り組めばいいのかわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。大企業はもちろん、中堅・中小企業にとってもDXは避けて通れないテーマでありながら、最初の一歩が踏み出しにくいのが実情です。
本記事では、消費者と企業(労働者)の双方の視点から、身近なDXの事例を紹介。これまで数多くの中堅・中小企業のDX推進をサポートしてきたプロの目線から、推進のポイントも解説します。これからDXを学びたい方や、自社でDXをどう進めるべきか迷っている経営者・担当者の方に向けて、実践のヒントをお届けします。
DXの身近な10の例
DXは企業だけでなく、私たちの日常生活にも深く入り込んでいます。スマホやアプリを通じて商品を購入したりサービスを利用したりするのはすでに一般的です。ここでは、生活の中でよく見かけるDXの具体例を取り上げ、便利さや変化を実感できる事例を紹介します。
ECサイト(ネット通販)
従来は消費者が店舗に足を運び、商品を探してレジに並び購入していました。欲しい商品が見つからなければ複数の店舗を回る必要があり、購入後は自分で持ち帰らなければなりませんでした。こうした買い物のプロセスには時間や手間がかかる課題がありました。
- 店舗に行く必要があり、営業時間に左右される
- 人気商品は品切れになりやすく、入手が難しい
- 大量購入した際に持ち帰りが大変
- 地域によっては選べる店舗や商品の数が限られる
ECサイトの登場により、消費者はスマホやPCから24時間いつでも商品を注文できるようになりました。商品データベースと在庫管理システムが連携し、在庫の有無をリアルタイムで確認できます。さらに物流網のデジタル最適化で即日配送が可能となり、AIによるレコメンド機能で関連商品が提示されるなど、利便性は大きく向上しました。
結果として、買い物のために外出する必要がなくなり、自宅にいながら商品を選べるようになりました。時間の制約から解放され、購入体験そのものが快適なものへと変化しています。
代表的なサービス例としては以下が挙げられます。
- Amazon
- 楽天市場
- Yahoo!ショッピング
ビデオオンデマンド
従来はレンタルショップに足を運び、DVDを借りて視聴していました。返却期限を守らなければ延滞料金が発生し、人気作品は貸出中で見られないことも多く、利用には不便が伴っていました。
- 店舗まで行く必要があり、時間や場所に制約がある
- 借りた作品を返却しに店舗まで行かなければならない
- 借りられる作品数に地域や在庫の制限がある
ビデオオンデマンドの登場により、消費者はインターネット経由で好きな時間に映画やドラマを観られるようになりました。配信システムは膨大な作品データベースと連携しており、視聴履歴から好みに合う作品をAIが自動的に提案します。返却作業も不要となり、利用体験は大きく変化しました。
インターネット経由なので、店舗や地域による在庫差もありません。延滞料金を気にする必要もなくなりました。消費者はストレスの少ない視聴体験を得られるようになっています。
代表的なサービス例としては以下が挙げられます。
- Netflix
- Amazon Prime Video
- Hulu
- U-NEXT
電子書籍
従来は読みたい本を探すために書店へ行き、購入後は持ち歩く必要がありました。紙の本は収納場所も限られ、消費者には次のような課題がありました。
- 書店まで行く手間がかかり、在庫切れのこともある
- 複数冊を持ち歩くと重く、外出先での読書に不便
- 自宅に本が増えると保管スペースを圧迫する
- 地域によっては欲しい本を取り寄せなければならない
電子書籍はこうした不便を解消しました。スマホやタブレットから24時間いつでも購入可能で、クラウドに保存されるため端末を変えても読書を継続できます。さらに検索機能や文字サイズ変更など、紙の本では得られなかった機能も利用できます。
その結果、消費者は数千冊の本を端末一つで持ち歩けるようになり、好きな時にどこでも読書を楽しめるようになりました。クラウド上の同期機能により、移動中や自宅など場所を問わず快適な読書体験を得られます。
代表的なサービス例としては以下が挙げられます。
- Kindle
- 楽天Kobo
- BookLive!
フードデリバリー
従来は紙のチラシを見ながら電話で出前を注文するのが一般的でした。注文内容を口頭で伝えるため間違いが起きやすく、到着時間も「30分くらい」と曖昧で不便さがありました。
- 紙のチラシでは情報が限られ、メニューや価格がわかりにくい
- 電話注文は聞き間違いが発生しやすい
- 配達状況がわからず、待ち時間が長く感じられる
- 到着時間が不正確で予定を立てにくい
フードデリバリーアプリの登場により、利用者はスマホから写真付きのメニューを確認し、ワンタップで注文できるようになりました。、また、GPSとシステムが連動することで配達員の位置や到着予定時刻をリアルタイムで確認できます。これにより、注文から受け取りまでの流れが透明化し、安心して利用できる仕組みが整いました。
結果として、利用者は自宅や職場で好きな料理を手軽に注文でき、到着時間を見ながら予定を調整できます。従来のように曖昧な待ち時間に不安を感じることなく、利便性の高いサービスを享受できるようになりました。
代表的なサービス例としては以下が挙げられます。
- Uber Eats
- 出前館
- Wolt
モバイルオーダー
従来は店舗に行ってレジに並び、注文と支払いを済ませる必要がありました。混雑時には10分以上待たされることもあり、スムーズに商品を受け取れないという課題がありました。
- レジに並ぶ必要があり、混雑時は待ち時間が長い
- 注文時に慌ただしく選ばなければならない
- 昼休みや夕食時など混雑の時間帯は席の確保も難しい
- 支払い方法が限られ、スムーズさに欠ける
モバイルオーダーの登場により、利用者はアプリから事前に商品を選び、決済まで完了できます。店舗到着後はレジに並ぶ必要がなく、すぐに商品を受け取れます。システムは在庫や受注状況と連動しており、効率的に調理と受け渡しができる仕組みが整いました。
その結果、利用者は待ち時間を気にせず、自分のタイミングで商品を受け取れるようになりました。レジ待ちがなくなり、時間を有効に使える点が大きなメリットです。
代表的なサービス例としては以下が挙げられます。
- スターバックス モバイルオーダー&ペイ
- マクドナルド モバイルオーダー
- モスバーガー モバイルオーダー
タクシー配車サービス
従来は流しのタクシーを道端で探すか、電話で配車を依頼する方法が一般的でした。到着までの時間や料金が不明確で、利用者にとって不安や不便さがありました。
- 流しのタクシーが見つからないと長時間待つことがある
- 電話配車は混雑時につながりにくい
- 到着時間が読めず、予定通りに移動できない
- 乗車するまで料金がわからず不安が残る
配車アプリの登場により、利用者はスマホから近くのタクシーを即時に呼べるようになりました。アプリは車両の位置と連動しており、到着予測時間をリアルタイムで表示します。さらに目的地を入力すると、事前に料金の目安を確認できる仕組みが整いました。
その結果、利用者は移動の予定を立てやすくなり、料金面でも安心して利用できるようになりました。従来のような不確実さが減り、快適で効率的な移動手段として定着しています。
代表的なサービス例としては以下が挙げられます。
- GO
- DiDi
- Uber Taxi
キャッシュレス決済
従来は現金を数えて支払うのが一般的で、小銭のやり取りが煩雑でした。ATMで現金を引き出す手間もあり、日常の買い物に不便さがありました。
- 支払いのたびに小銭を探す手間がかかる
- ATMで現金を引き出す必要がある
- 財布を持ち歩かなければならない
- 支出管理が難しく、家計簿をつける手間が発生する
キャッシュレス決済の普及により、消費者はスマホやカードをかざすだけで瞬時に支払いができるようになりました。決済情報は自動的に記録され、ポイント還元や家計簿アプリとの連携も可能です。現金管理の煩雑さを解消し、効率的な決済環境が整いました。
その結果、レジでの支払いがスムーズになり、財布を持たずに買い物できるようになりました。収支がデータとして記録されることや家計簿アプリとの連携により、家計管理もしやすくなり、日常生活がより快適になっています。
代表的なサービス例としては以下が挙げられます。
- PayPay
- 楽天ペイ
- LINE Pay
- Suica
- PASMO
ネットバンキング
従来は銀行の窓口やATMに行き、振込や残高確認をする必要がありました。利用時間は平日15時までが基本で、仕事の合間に足を運ばなければならないという不便さがありました。
- 銀行窓口やATMまで出向く必要がある
- 窓口は営業時間が限られており、平日昼間しか利用できない
- ATMや窓口が混雑し、待ち時間が発生する
- 振込や引き出しの手数料が高い
ネットバンキングの普及により、スマホやPCから24時間いつでも振込や残高確認ができるようになりました。ネット専用銀行では手数料が低く抑えられ、さらに資産管理アプリと連携することで家計全体を見渡せる仕組みも整いました。
その結果、利用者は時間や場所に縛られずに金融サービスを利用できるようになります。手数料を節約しながら、効率的に資産を管理できるようになりました。家計の見える化によって、お金の使い方を改善する効果も期待できます。
代表的なサービス例としては以下が挙げられます。
- 三菱UFJダイレクト
- みずほダイレクト
- 楽天銀行
- PayPay銀行
無人店舗
従来は商品を選んだ後、レジに並んで精算する必要がありました。昼時や夕方にはレジに長蛇の列ができ、買い物に時間がかかる課題がありました。
- レジの待ち時間が長く、買い物に余計な時間がかかる
- 店員の対応スピードにより待ち時間が左右される
- 混雑時は会計にストレスを感じやすい
- 深夜は営業している店舗が限られる
無人店舗ではキャッシュレス決済が基本で、店員の対応スピードで待ち時間が左右されることはありません。店舗によっては、商品を選んでそのまま退店することで、支払いが完了します。店舗内のカメラやセンサーが購買データを自動で取得し、退店時に決済が完了する仕組みです。レジ待ちをなくすためにAIや画像認識技術が活用され、効率的な買い物体験が実現しました。
その結果、消費者はレジに並ぶ必要がなく、短時間で買い物を終えられるようになりました。混雑時でもスムーズに利用でき、ストレスのない購買体験が得られます。
代表的なサービス例としては以下が挙げられます。
- Amazon Go
- LAWSON GO
- トライアルスマートストア
オンライン授業
従来は学校や塾に通学しなければ授業を受けられず、欠席すると学習内容を取り戻すのが難しい課題がありました。
- 教室に通わなければならず、移動の負担がある
- 体調不良や予定が重なると授業を受けられない
- 授業を欠席すると学習内容を取り戻しにくい
- 学習進度が一律で、個々の理解度に対応しにくい
録画配信をくり返し視聴できるため、理解できなかった部分を自由に、何度でも振り返ることが可能です。さらにAIが学習履歴を分析し、理解度に応じた個別最適化された教材や課題を提示する仕組みも整いました。
その結果、学習機会が広がり、欠席や理解不足による不安も軽くなりました。場所や時間に縛られず、自分のペースで学習を進められる点も大きな利点です。
代表的なサービス例としては以下が挙げられます。
- スタディサプリ(リクルート)
- Udemy
- Zoom授業
企業におけるDXのわかりやすい10の例
DXは業務効率の向上や新たな価値創出を目的に、多くの企業で取り組まれています。リモート環境の整備やデータ活用の仕組みづくりなど、その事例は幅広く存在します。ここでは企業が実際に導入しているわかりやすいDXの取り組みを紹介し、ビジネスにどのような変化をもたらしているのかを見ていきます。
テレワークの導入
従来は社員が毎日オフィスに出社し、対面での業務や会議を行うのが一般的でした。そのため移動や働き方に制約が多く、家事や育児と仕事の両立など、柔軟な働き方が難しいという課題がありました。
- 通勤に時間と労力がかかり、業務効率が下がる
- 地方や遠隔地に住む人材を雇用しにくい
- 家庭や育児と両立が難しく、働き続けられなくなることも
- 災害や感染症などの緊急時に業務が滞る
テレワークの導入により、従業員は自宅やサテライトオフィスからオンラインで業務に参加できるようになりました。Web会議システムやビジネスチャット、クラウド型の業務システムが連携することで、場所に依存しない働き方が可能となっています。
その結果、通勤時間の削減や柔軟な勤務スタイルの実現につながり、多様な人材の活用やワークライフバランスの改善が進みました。企業にとっても非常時に業務を止めない体制づくりにつながっています。
テレワークでは、次のようなツールが活用されています。
- Web会議システム(Zoom、Microsoft Teamsなど)
- ビジネスチャット(Slack、Chatworkなど)
- オンラインストレージ(Google Drive、Dropboxなど)
Web会議の導入
従来は会議の際、全員が会議室に集まる必要がありました。出張や移動を伴う場合も多く、時間やコストがかかることが課題でした。
- 遠方の拠点や取引先に行く際は移動時間と交通費が発生する
- 会議の調整に時間がかかり、日程が合わないことも多い
- 会議資料を紙で配布するため準備に手間がかかる
- 突発的な打ち合わせが難しく、意思決定が遅れる
Web会議システムの導入により、インターネット環境さえあれば場所を問わず会議に参加できるようになりました。画面共有やチャット機能で資料を即時に共有でき、議論を効率的に進められる仕組みが整いました。
その結果、移動の必要がなくなり、時間とコストを大幅に削減できるようになりました。さらに、必要に応じて迅速に会議を開けるため、意思決定のスピードも向上しました。
Web会議にはWeb会議システムやビデオ通話システムが活用されています。具体的には、次のようなツールがよく使われています。
- Zoom
- Microsoft Teams
- Google Meet
- Cisco Webex
契約や請求の電子化
従来は契約書や請求書を紙で作成し、郵送や押印を経て取引先とやり取りしていました。書類作成から承認までに時間がかかり、業務効率が下がるという課題がありました。
- 書類の印刷や郵送にコストと時間がかかる
- 押印や署名のために出社が必要になる
- 書類の保管場所を確保する必要がある
- 紙のやり取りでは進捗が見えにくく、処理が遅れる
電子契約や電子請求システムの導入により、契約書や請求書はオンラインで作成から送付、承認まで完結できるようになりました。クラウド上で進捗が可視化され、電子署名やタイムスタンプによって法的な効力を担保しつつ、スピーディな取引が可能となりました。
その結果、取引先とのやり取りが迅速かつ効率的になり、業務がスムーズに進むようになりました。企業はコスト削減と業務スピードの両立を実現しています。
契約や請求の電子化には、次のようなツールが活用されています。
- 電子契約サービス(クラウドサイン、DocuSignなど)
- 請求書クラウドサービス(マネーフォワードクラウド請求書、freee請求書など)
- 電子署名・タイムスタンプ(電子印鑑GMOサイン、invox受取請求書など)
データの利活用
従来は売上や顧客情報を紙やExcelで管理し、分析も担当者の経験や勘に頼ることが多くありました。そのため情報活用が不十分で、意思決定のスピードや精度に課題がありました。
- データが部門ごとに分散し、全体像を把握しにくい
- 集計や分析に時間がかかり、リアルタイム性がない
- 担当者の経験や勘に依存し、再現性に欠ける
- データを活かした新しい施策や改善に結びつきにくい
データ活用基盤の整備により、売上や顧客行動、在庫状況などの情報を一元的に管理できるようになりました。クラウドやBIツールを活用することでリアルタイムにデータを可視化し、AIによる予測や分析を加えることで迅速で的確な意思決定が可能になりました。
その結果、企業は事実に基づいた戦略立案ができ、業務効率や売上拡大につながる施策を打ち出せるようになりました。このようにデータを蓄積・分析し、活用する取り組みは、DXでよく言われる「新しいビジネスモデルの創出」。にも欠かせません。
データの利活用を進める際は、次のようなツールが役立ちます。
- BIツール(Tableau、Looker、Power BIなど)
- DWH・データレイク(Snowflake、BigQueryなど)
- 分析支援ツール(Google Analytics、Adobe Analyticsなど)
Web接客の導入
従来は接客といえば店舗や対面が中心で、顧客がWebサイトを訪問しても案内や提案を受けることはできませんでした。そのため購買機会を逃したり、顧客満足度が下がったりする課題がありました。
- ECサイトで迷っても店員に相談できない
- 顧客の属性や行動に応じた提案が難しい
- 問い合わせがメールや電話に限られ、対応が遅れやすい
- 購買意欲を高める工夫が不足し、離脱につながる
Web接客ツールの導入により、サイト訪問者の行動データをもとにリアルタイムで声かけや商品提案が可能になりました。チャットボットやポップアップでおすすめ情報を提示し、AIが顧客のニーズに応じて最適なコミュニケーションを取ります。これにより、従来は「待ち」の対応だったWebでの販売活動が、「攻め」の販売活動へと変化しました。
その結果、顧客はオンラインでも店舗と同じような案内を受けられるようになり、商品理解や購買の後押しにつながっています。効率的でパーソナライズされた接客で顧客満足度が高まり、売上拡大にも寄与しています。
Web接客では、次のようなツールが活用されています。
- チャットボット(KARTE、チャネルトークなど)
- Web接客ツール(ecコンシェル、Sprocketなど)
- AIレコメンドエンジン(GENIEE RECOMMEND、アイジェント・レコメンダーなど)
オンライン接客の導入
オンライン接客とは、店舗に設置した画面や顧客のPC・スマホを通して、ビデオ通話で接客することです。チャットやポップアップで接客するのがWeb接客、ビデオ通話を通して半ば対面で接客するのがオンライン接客です。
従来は顧客との接点が対面に限られており、店舗以外の場所にいる顧客には接客ができませんでした。販売機会が限られており、店舗に来られない相手には販売ができないことが課題でした。
- 店舗に行かなければ相談や案内を受けられない
- 営業時間外は対応できず、機会損失が生じる
- 電話やメールでは情報伝達に限界がある
- 担当者不足により、待ち時間が長くなることがある
オンライン接客ツールの導入により、顧客は自宅からでも、店舗スタッフとビデオ通話やチャットでやり取りできるようになりました。店舗にオンライン接客用のモニターを設置することで、人件費を削減している例もあります。画面共有で商品説明ができ、最近では顧客の行動データに基づいてAIアバターが最適な提案を提示する仕組みも整備されています。
その結果、顧客は来店せずに専門的な説明を受けられ、購買検討をスムーズに進められるようになりました。企業側も営業時間外や遠隔地の顧客へ対応できるため、売上や満足度の向上につながっています。
オンライン接客では次のようなツールが活用されています。
- オンライン接客ツール(LiveCall、Zendeskなど)
- ビデオ通話サービス(Zoom、Google Meetなど)
- AI接客支援システム(AIさくらさんシリーズ、AVACOMなど)
D2C事業の展開
D2C(Direct to Consumer)事業とは、メーカーやブランドが中間業者を介さず、ECサイトやSNSなどを通じて顧客に直接商品を販売するビジネスモデルです。従来の流通モデルと比べて企業が顧客と直接つながれる点が大きな特徴です。
従来は商品を販売する際、百貨店や小売店などの中間業者を通すのが一般的でした。そのため顧客との接点が限られ、ニーズを直接把握することが難しいという課題がありました。
- 中間業者を挟むことで販売価格が上がる
- 顧客の声を直接収集できず、商品改善が遅れる
- 在庫や販売状況をリアルタイムに把握しにくい
- 一貫したブランド体験を届けにくい
メーカーやブランドと顧客が直接つながれるD2C事業では、購買データや顧客の反応をすぐに収集できます。加えてAIや分析ツールを用いることで、商品開発やマーケティングに、顧客の声を即座に反映できる体制が整いました。物流システムとの連携により、注文から配送までを効率化できる点も特徴です。
その結果、企業は顧客との距離を縮め、ブランドの世界観を直接伝えることが可能になりました。顧客にとっても中間マージンの少ない価格で商品を購入でき、さらにフィードバックが商品に反映されやすいメリットがあります。
D2C事業には次のようなツールが活用されています。
- ECサイト構築サービス(Shopify、BASEなど)
- 各種SNS(Instagram、Xなど)
- 顧客管理・分析ツール(Salesforce、Google Analyticsなど)
オムニチャネル展開
オムニチャネル展開とは、店舗・ECサイト・アプリ・SNSなど複数の販売チャネルを統合し、顧客がどのチャネルを利用しても一貫した購買体験を得られるようにする仕組みです。チャネルごとの分断をなくし、顧客接点を横断的に活用することで利便性と満足度を高める取り組みです。
従来は顧客が商品を購入する手段が店舗か通販のいずれかに限られており、販売チャネルが分断されていました。そのため購買行動を一貫して把握できず、データ活用に限界がありました。
- 店舗とECサイトの在庫が連動しておらず、欲しい商品が入手できない
- 顧客データがチャネルごとに分かれ、分析が不十分になる
- 店舗で見た商品をECで購入できないなど、購買導線が不連続
- 顧客に一貫したブランド体験を届けにくい
オムニチャネル展開により、店舗とECサイト、アプリなど複数チャネルの在庫や顧客データが統合されました。顧客は店舗で確認した商品を後からECで購入したり、オンラインで注文して店舗で受け取ったり、柔軟な購買行動が可能になりました。企業は統合されたデータを基に、顧客に合わせた提案や販促ができます。
その結果、顧客はチャネルをまたいでもストレスなく買い物を楽しめるようになりました。企業にとっても購買データの一元管理により、売上拡大と顧客満足度向上を同時に実現できるようになっています。
オムニチャネル展開では次のようなツールが活用されています。
- 在庫管理システム(GoQSystem、ロジクラなど)
- CRM(カスタマーリングス、OmniSegmentなど)
- ECサイト連携型POSシステム(ReCORE、スマレジなど )
問い合わせ対応へのツール導入
従来は顧客からの問い合わせに対して、電話やメールで個別に対応するのが一般的でした。そのため応対に時間がかかり、待ち時間や対応漏れが発生するという課題がありました。
- 電話窓口が混雑し、顧客が長時間待たされる
- メール対応では返信に時間がかかる
- 担当者によって回答の質にばらつきがある
- 問い合わせ履歴が分散し、情報共有が不十分になる
問い合わせ対応ツールの導入により、チャットボットやFAQシステムで一次対応を自動化できるようになりました。顧客の履歴やデータベースと連携することで適切な回答を提示し、複雑な内容は有人対応へスムーズに引き継ぐ仕組みが整いました。また、クラウドCTIを活用することで、問い合わせ内容に応じて適切なオペレーターに電話を割り振ることもできます。
その結果、顧客はアプリから事前に回答を得たり、スムーズに担当者につながることが可能になりました。企業側も対応効率が上がり、待ち時間ゼロに近い快適なサポートを提供できるようになっています。
問い合わせ対応には、次のようなツールが活用されています。
- チャットボット(Zendesk、チャネルトークなど)
- FAQシステム(Helpfeel、OKBIZなど)
- クラウドCTI(CT-e1/SaaS、MiiTel Phoneなど)
新規事業の展開
従来は新規事業を立ち上げる際、市場調査から商品開発、販売チャネル構築まで多くの時間とコストがかかっていました。そのためスピード感に欠け、競合に先を越されるといった課題がありました。
- 市場調査や顧客ニーズの把握に時間がかかる
- 試作品やテスト販売の準備にかかるコストが大きい
- 新しい販売チャネルの開拓が困難
- 成功や失敗の判断が遅れ、改善に遅れが出る
データ分析やAIによる需要予測などのデジタル技術を用いることで、スピード感を持って市場ニーズを把握できます。ECサイトやSNSを通じたテストマーケティングで顧客の反応を収集し、クラウドやデジタルツールを活用して事業検証を短期間で進める仕組みが整いました。
その結果、従来よりもスピーディに、リスクを抑えて新規事業を展開できるようになりました。効率的に資源を投下し、成功の可能性を高めつつ、リスクを抑えた挑戦が可能になっています。
新規事業の展開に活用できるツールは次のとおりです。
- データ分析ツール(Google Analytics、Tableauなど)
- クラウドファンディングサービス(Makuake、CAMPFIREなど)
- 各種SNS(Instagram、Xなど)
- プロトタイピングツール(Figma、Adobe XDなど)
身近な例からわかる、DX推進のポイント
これまで紹介した事例からもわかるように、DXは単に技術を導入するだけではなく、顧客や社会のニーズに応える形で進めることが重要です。加えて、自社の業務に潜む課題を洗い出し、解決策としてデジタル技術を活用する姿勢が求められます。ここでは身近な例を踏まえ、企業がDXを推進するうえで意識すべきポイントを整理します。
デジタル技術やITツールへ知見を深めることが、DXの第一歩
DXを進める大前提となるのが、経営層がその本質を理解することです。ここでいうDXの本質とは、単にデジタル技術を導入することではなく、それを通して企業の文化や風土、体質そのものを変革することです。効率的に業務を進められる仕組みを整え、常に改善を重ねられる体質へと組織が生まれ変わることで、継続的な成長とDX推進が可能になります。
その一方で、「まずはどのような技術やツールがあるのかを知ることが出発点になる」という考え方もあります。新しいツールや技術に触れ、その活用方法を想像することは、自社の課題解決にデジタル技術をどう役立てられるかを考えるきっかけとなります。
いずれにしても重要なのは、DXの本質を理解したうえでデジタル技術やITツールの知識を深めることです。そうすることで「この技術を使えばどんな改善が可能か」という発想の幅が広がり、実効性のある取り組みにつながります。
DXは単なる業務効率化ではないが、まずはそこから始めてみよう
DXの本質は、ITツールやデジタル技術を活用して業務を効率化することではありません。もちろんそれも大切ですが、ビジネスモデルや業務プロセスを改善し、新たな価値や事業を創出していくことこそが、DXの最終的な目的です。単なるデジタル化とDXは似て非なるものといえます。
ただし、いきなり大規模な変革を目指しても現場が混乱し、取り組みがうまく進まないはずです。だからこそ、まずはデジタル化から、小さな一歩から始めてみましょう。例えば、請求書や契約の電子化、テレワークの導入といった取り組みは負担が少なく、導入効果も実感しやすいです。
こうした小規模な取り組みを積み重ねることで、組織はノウハウを蓄積し、デジタル活用に対する理解も深まります。そして、段階的に取り組みの範囲を広げることで、大きな変革や新規事業の創出へとつなげていけるでしょう。まずは足元の改善から始めることが、DX成功の近道です。
業務のボトルネックを特定することで、現場に根差した改革が可能に
DXはまず業務の効率化や改善から取り組むことが重要だと先述しました。その際に欠かせないのが、業務全体の中でどこに停滞が生じ、生産性を下げているのかを明確にすることです。つまり、業務のボトルネックを特定することがDX推進の第一歩となります。
業務のボトルネックは、例えば「請求書のやり取りが多く、修正や誤送が頻発して管理が煩雑になっている」「稟議の承認フローが複雑で時間がかかり、進捗の把握も難しい」といった場面に表れます。このように業務が滞る要因を見極めることが肝心です。
ボトルネックを明らかにすれば、いの一番に改善すべき部分が自ずと見えてきます。改善の成果が大きく出やすく、現場の負担軽減にも直結するため、社員もDXの効果を実感しやすいです。
「DXは現場の仕事をより楽にするための取り組みである」という認識が広がれば、現場の協力を得やすくなり、全社的にDX推進の機運を高められます。
顧客や社会のニーズを軸に考えなければ、改善どころか改悪になりかねない
DXは業務改善から始め、最終的には既存ビジネスの高度化や新しいビジネスモデルの創出を目指したいです。しかし、この段階で陥りがちなのが、独りよがりな発想による施策です。「自社はこういうことができるから」「この技術を試してみたいから」といった内向きの視点だけで進めると、改善どころか改悪につながりかねません。
もちろん、自社の強みを活かしたり、「この技術を活用すれば新しい可能性が広がりそうだ」という発想から始めること自体は悪いことではありません。ただし、それだけでは不十分です。
重要なのは、常に顧客や社会のニーズを出発点に据えること。対象となる顧客が誰なのか、その人たちが抱える欲望や課題、不安や不満をどのように解消できるのかという視点を持たなければなりません。この視点が欠けたビジネスモデルは、市場に受け入れられず失敗に終わる可能性が高いです。
DXというと技術の導入や活用方法ばかりに目が向きがちですが、マーケティングの基本である「顧客起点」の考えを忘れてはいけません。技術はあくまで手段であり、顧客や社会の課題を解決するという目的を見失わないことが、DX成功の鍵となります。
社員の育成により、自社に合うDX人材の確保とノウハウ蓄積が可能に
前提として、DX人材は社会全体で不足しており、その多くが大企業に流れやすい状況があります。DX人材は需要過多であり、好条件を提示できる大企業ほど人材獲得に有利です。その一方で、中堅・中小企業は採用競争で不利になりがちで、外部からの確保が難しいという現実があります。
では中堅・中小企業はどうすればよいのでしょうか。外部のDX支援サービスを活用して人材を一時的にアサインしてもらう方法もありますが、最も有効なのは、既存社員をDX人材として育成することです。
既存社員は自社の風土や文化、業務課題を理解しています。情報システム部門に所属している人材なら、自社のITインフラやシステムにも精通しています。こうした人材を育てることで「自社に最も適したDX人材」を確保できるのです。さらに、育成を通して社内全体のDXリテラシーを高め、ノウハウを蓄積する効果も期待できます。
とはいえ、DX人材を育成できるほどの知識や体制を備えている中堅・中小企業は多くありません。だからこそ、社員教育までサポートしてくれるDX支援サービスを見つけ、信頼できるパートナーとして二人三脚で進めることが大切です。これにより、限られたリソースでも着実にDXを推進できる基盤を整えられます。
DXに欠かせないデジタル技術や用語
DXを進めるうえで基盤となるのが、クラウドやAI、IoTといったデジタル技術です。これらは単なる便利な仕組みではなく、業務の効率化や新しいビジネスモデルの創出を支える土台となります。ここでは、DXを理解し実践するために欠かせない、代表的な技術や用語を整理して紹介します。
クラウド
クラウドとは、インターネット経由でサーバーやストレージ、アプリケーションなどのITリソースを利用できる仕組みのことです。従来のように自社でサーバーを設置・管理する必要がなく、必要な分だけを柔軟に利用できます。
クラウドはDXと密接に関係しています。なぜなら、クラウド環境を利用することで社内外のデータを一元管理でき、在宅勤務や多拠点での共同作業を容易にできるからです。新しいサービスやシステムを素早く導入できる点も、DXのスピードを支える要素となります。
近年は働き方の多様化やシステムの複雑化が進み、クラウドの必要性は高まっています。特にリモートワークやモバイル環境の普及により、いつでもどこでも業務を進められる体制が求められており、その基盤としてクラウドの導入は欠かせない存在になっています。
SaaS
SaaS(Software as a Service)とは、ソフトウェアをクラウド経由で利用できるサービスのことです。ユーザーはアプリケーションをインストールする必要がありません。インターネットを通じて必要な機能を利用でき、クラウド環境によって常に最新の状態で使える仕組みになっています。
SaaSはDXと深く関わっています。SaaSは基本的にサブスクリプションで、初期費用は無料もしくは安価です。導入コストを抑えつつ短期間で業務に組み込めるため、企業は新しいシステムを柔軟に導入できます。さらに利用データが蓄積され、他のツールとの連携も容易なため、業務効率化やデータ活用を後押しします。
近年はリモートワークの普及や業務プロセスの複雑化により、社内のあらゆるシステムをクラウドベースで利用する流れが強まっています。その中心的な役割を担うのがSaaSであり、柔軟でスピーディな業務改革を進めるうえで必要不可欠な存在となっています。
ビッグデータ
ビッグデータとは、従来の方法では処理が難しいほど大量かつ多様で、生成速度の速いデータのことです。センサーやスマートフォン、SNS、ECサイトなどから収集され、クラウドや分散処理技術を活用することで分析・活用が可能になります。
ビッグデータはDXの基盤ともいえる存在です。膨大なデータを分析することで顧客の行動やニーズを把握でき、業務改善や新たなサービス創出につなげられます。また、AIやIoTなどの技術とも連携することで、より高い価値を生み出すことも可能です。
近年はECやSNSの普及によりデータ量が爆発的に増加し、企業にはデータドリブンな意思決定が求められています。市場の変化が早い時代において、迅速に判断し競争力を維持するためにも、ビッグデータの活用は欠かせません。
IoT
IoT(Internet of Things)とは、モノをインターネットにつなぎ、相互にデータを収集・共有できる仕組みのことです。センサーやデバイスを通じて取得したデータをクラウドに送信し、遠隔で管理や制御ができます。
IoTはDXにおいて重要な役割を果たします。工場や店舗の設備、物流や製品に組み込まれたIoTデバイスから得られるデータを活用することで、業務の可視化や効率化が促進されます。また、そのデータをAIやビッグデータ解析と組み合わせることで、新たなサービスやビジネスモデルを生み出す基盤にもなります。
近年は製造業でのスマート工場化、物流におけるリアルタイム追跡、ヘルスケアでのウェアラブル端末利用など、IoTの活用が拡大しています。デジタル技術を駆使して生産性を高める動きが進む中、IoTはDXを支える必須の技術です。
AI
AI(人工知能)とは、人間の知的活動をコンピュータで模倣・実現する技術のことです。機械学習やディープラーニングなどの仕組みによって、大量のデータからパターンを学習し、自動で予測や判断ができるようになります。
AIはDXの推進に欠かせない存在です。顧客データを基にしたレコメンド機能や需要予測、チャットボットによる顧客対応など、業務やサービスを高度化し、新たな価値を生み出す原動力となります。また、ビッグデータやIoTと連携することで、さらに精度の高い分析や最適化が可能になります。
近年は生成AIの普及や企業におけるAI活用事例の増加により、一部の先進企業だけでなく、中堅・中小企業や一般消費者の間でも幅広く活用されるようになりました。人手不足や業務効率化のニーズが高まる中、AIの必要性は一層強まっており、DXを加速させる中心的な技術となっています。
機械学習とディープラーニングの違い
機械学習は、たくさんのデータを学習して「ルール」を見つけ出し、そのルールを使って予測や判断をする仕組みです。ただし、学習させる前に人間が「何を基準に学習するか」をある程度決めてあげる必要があります。
これに対してディープラーニングは、より進化した仕組みで、人間が細かく教えなくてもデータの中から自動的にルールを見つけ出せます。そのため、画像を見分けたり音声を理解したりと、より複雑で高度な作業に強いのが特徴です。
タイムスタンプ(電子契約)
タイムスタンプとは、電子データが「いつ作成されたのか、改ざんされていないか」を証明する技術です。電子契約では、文書に電子署名とタイムスタンプを付与することで、作成日時と完全性を保証する仕組みが使われています。
タイムスタンプはDXにおいて、契約や取引の信頼性を担保する重要な役割を果たします。紙の契約書では押印や郵送に時間がかかっていましたが、電子契約にタイムスタンプを導入することで、法的効力を確保しながら迅速なやり取りが可能です。
近年はリモートワークや電子化の進展により、契約や請求業務をオンラインで完結させる流れが加速しています。コンプライアンスやセキュリティへの関心も高まる中、タイムスタンプは安全かつ効率的に取引を進めるために欠かせない技術となっています。
DXでよく使われるITツール
DXを実現するためには、ITツールの活用が欠かせません。業務を自動化するRPAやデータを共有するクラウドストレージ、顧客情報を管理するCRMやSFAなど、ツールにはさまざまな種類があります。ここではDXを推進する際によく利用される代表的なITツールを紹介し、その特徴と役割を整理します。
RPA
RPA(Robotic Process Automation)とは、パソコン上で人が行う定型的な作業を、ソフトウェアロボットに自動化させるツールです。データ入力や転記、ファイルの整理、帳票の作成など、くり返し作業を正確かつ迅速に処理できます。
RPAを導入することで、人的ミスを減らし、業務のスピードと正確性を高められます。単純作業にかかっていた時間を削減できるため、従業員はより付加価値の高い業務に集中できるようになります。
近年は人手不足や働き方改革の影響で、生産性向上が企業に強く求められるようになりました。RPAはその実現を支える有効な手段であり、DX推進の一環として多くの企業で導入が進んでいます。
クラウドストレージ
クラウドストレージとは、インターネット上のサーバーにデータを保存し、どこからでもアクセスできる仕組みのことです。社内外を問わずPCやスマートフォンからファイルを共有・編集でき、容量の拡張やバックアップも可能です。
クラウドストレージを導入することで、社内外のメンバーが同じファイルをリアルタイムで扱えるようになり、共同作業がスムーズになります。さらにデータの紛失リスクを低減し、セキュリティ強化にもつながります。
テレワークやグローバルなチームでの働き方が一般化する中、クラウドストレージは業務を進めるうえで欠かせない基盤となりました。場所や時間にとらわれない働き方を実現し、迅速な意思決定や業務効率化を支えるツールです。
CRM/SFA
CRM(Customer Relationship Management)とは顧客との関係を管理する仕組みです。SFA(Sales Force Automation)は営業活動を効率化するツールです。これらを活用することで、顧客データや商談履歴を一元管理し、営業活動の進捗や成果を可視化できます。
CRM/SFAを導入することで、営業担当者は顧客情報をすぐに把握でき、最適な提案が可能になります。サポート部門では、過去の取引履歴を活用してフォローを強化できるため、顧客満足度の向上や売上拡大につながります。また、マネジメント側は営業活動を数値で把握でき、戦略立案に役立てられます。
競争が激化する市場環境において、顧客理解と営業力の強化は重要です。CRM/SFAは単なる業務効率化にとどまらず、データを活用した「顧客中心の経営」を実現するために欠かせないツールとなっています。
MA
MA(Marketing Automation)とは、マーケティング業務を自動化するツールです。顧客の行動データをもとにステップメールを配信したり、見込み客の確度をスコアリングしたりできます。見込み客の育成から、最適なタイミングでの商談化まで、効率的に進められルツールです。
MAを導入することで、顧客ごとの関心や行動に合わせた最適なアプローチが可能になります。営業部門に渡す前に有望な見込み客を絞り込めるため、営業効率が高まり、成約率の向上にもつながります。さらに、効果測定を自動化できるため、改善サイクルの短縮も可能です。
情報があふれる時代において、顧客は自分に合った情報や提案を求めています。MAはデータに基づく精度の高いマーケティングを実現し、DXによる顧客中心の経営を支える重要な仕組みとして、多くの企業で導入されています。
BI
BI(Business Intelligence)とは、企業が保有するさまざまなデータを収集・分析し、経営判断や業務改善に役立てる仕組みのことです。売上や顧客動向、在庫状況などを可視化し、データに基づいた意思決定を可能にします。
BIツールを導入することで、担当者は勘や経験に頼らずに、数値に裏付けられた判断ができるようになります。部門をまたいでデータを一元管理できるため、経営層から現場まで共通の情報を基に行動でき、組織全体の意思決定スピードが向上します。
市場変化が激しい現代において、迅速かつ正確な判断は競争力を維持するために欠かせません。BIはDXの「データの利活用」において重要な役割を担います。データドリブン経営を実現するための基盤として、多くの企業で導入が進んでいます。
DXは壮大に思えるが身近なことから実行できる
本記事では、ECサイトやフードデリバリー、キャッシュレス決済といった消費者に身近な例から、テレワークや契約の電子化など企業の取り組みまで、幅広いDX事例を紹介しました。こうした例からもわかるように、DXは決して特別なものではなく、私たちの日常や業務の中に自然と取り入れられています。
一方で、中堅・中小企業が自社だけでDXを進めるのは容易ではありません。特にDX人材の確保は困難です。大企業に人材が集中し、DXに関する十分なスキルや知識もない中、自社でDX人材を育てるのもなかなかできないでしょう。そのため、外部のDX支援サービスを活用することが有効な選択肢となります。
私たちドットコンサルティングは、中小企業に特化したDX実現専門のコンサルティング会社です。既存のコンサルサービスにありがちな「成功事例の横展開」ではなく、企業ごとの文化や組織に合わせたオーダーメイドの支援を提供してきました。テンプレートを使わず、企画立案から実行まで伴走し、理論と実践を通じて「応用力」を育てることを重視しています。
弊社の強みはDX人材の育成です。既存社員を自社に最も適したDX人材へと成長させることで、外部に頼らずとも持続的にDXを推進できる体制を構築します。さらに、育成を通じて社内全体のリテラシーを底上げし、ノウハウを蓄積できる仕組みを整えます。最終的には私たちの手を離れ、クライアント自らでDXを推進し続けられるようになってもらいます。
DXは壮大に思えても、最初の一歩は小さな改善から始められます。そしてその歩みを確実に成果につなげるために、ぜひドットコンサルティングをパートナーとしてご活用ください。